所長挨拶

 先導物質化学研究所は、機能物質科学研究所と有機化学基礎研究センターとの融合と再編によって平成154月に発足した附置研究所です。本研究所のミッションである「物質化学の研究を先導して世界最高水準の成果を創出し、物質化学の国際的拠点を形成すること」は発足から14年を経た現在に至るまで一貫して変わっていませんが、第二期中期目標期間(平成2227年度)には、より具体的な三つのミッション、すなわち、(1)共同利用・共同研究拠点として、物質・デバイス領域の先端的・学際的共同研究を推進すること、(2)産官学連携の環境を整えて実践的研究を推進し、我が国の産業の発展に貢献すること、(3)諸科学の融合研究領域としてのシステム生命科学、分子集積・分子組織化を基軸としてグリーン・ライフ分野研究を先導すること、が再定義され、第三期中期目標期間(平成2833年度)の現在に至っています。

 本研究所は、原子・分子・ナノスケールから、メゾスケール、マクロスケールにわたる物質の構造、物性・機能の階層的なしくみに対応する四研究部門(物質基盤化学、分子集積化学、融合材料、先端素子材料)と平成27年度に新設した戦略的部門であるソフトマテリアル国際部門の計五部門から成り、45名前後の教員(教授、准教授、助教)、研究員および研究支援スタッフが筑紫・伊都の二つのキャンパスにおいて総合的・先導的な物質化学研究を展開しています。第二期中期目標期間の6年間には、1,200報を超える査読付原著論文および総説を発表し、4,700件の研究発表(うち1,020件は依頼・招待講演数)を行いました。Top10%補正論文比(20092013)は15.2%であり、多くの研究成果が国際的に高い評価を受け、化学コミュニティに貢献しています。このような成果は、所員の、新規機能性分子合成、計算科学、分子集積、ナノマテリアル、ソフトマテリアル、バイオ材料、無機材料、炭素材料、デバイス、炭素資源変換などの多岐にわたる科学・化学・工学の分野で特徴のある研究への日夜の努力に加えて、本研究所客員教員、学内、学外、産業界、そして海外の研究者や技術者との協働と連携の賜物であると認識しています。

 平成22年度以来、五つの研究所(北海道大学電子科学研究所、東北大学多元物質科学研究所、東京工業大学科学技術創成研究院化学生命科学研究所、大阪大学産業科学研究所、本研究所)が参画する全国規模のネットワーク型の共同研究拠点事業を推進し、平成27年度には、活動の成果に対してS評価が与えられました。本事業は平成28年度に二期目を迎えました。本拠点における事業は、「ネットワーク型共同研究拠点事業」と拠点を形成する附置研究所間で推進する「課題解決型アライアンスプロジェクト事業」から成り立っています。これらのネットワークの特性を活かした組織的共同研究の取り組みは、我が国の物質・デバイス研究の飛躍的推進を担う核として有効に機能することが大いに期待されています。一方、基礎化学分野では平成28年度より北海道大学触媒科学研究所、名古屋大学物質科学国際研究センター、京都大学化学研究所とともに「統合物質創製化学研究推進機構」で連携し、新規物質創製を統括的に研究する新国際研究拠点を設立しました。戦略的なガバナンスのもと、産官学連携や国際連携を通じて研究成果を新学術や産業創出につなぐ取り組みに加えて、次世代のリーダーとなる研究者を育成しています。
 大学院教育に於いては、先導物質化学研究所は、伊都地区では理学府、工学府、筑紫地区では総合理工学府、統合新領域学府を担当しており、研究院とは異なる研究所の特徴を生かした学際的な物質化学の教育と研究指導を行っています。
本研究所は、これまでに蓄積した独創的な研究の成果をさらに発展させ、新しい科学技術分野を開拓する努力を継続して参ります。しかしながら、我々の力は限られています。国内外を問わず、他の研究機関の研究者、産業界の研究者・技術者との協働と連携は研究のレベルをさらに高め、研究成果を社会に還元し、その結果として、物質化学の国際的拠点となるために欠かせません。本ホームページを訪れてくださった各位におかれましては、ご批判、ご鞭撻、そしてご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。また、共同研究や施設・設備利用等に関しては気軽にお問い合わせ下さいますようお願い申しあげます。

先導物質化学研究所・所長 林 潤一郎