EVENTS 講演会

3月11日(金)「メカノメディシン特別セミナー」講師:曽我部 正博先生、芳賀 永先生、澤田 泰宏先生

関係各位 

先導研客員教授講演会の第2部を開催いたします。
今回は、近年、大きな注目を集めているメカノバイオロジーの医療展開として、さらに先端研究領域となる"メカノメディシン:Mechanomedicine"をテーマに特別セミナーを企画いたしました。多数、ご来聴賜りますようご案内申し上げます。   木戸秋 悟

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   メカノメディシン特別セミナー
     日 時 : 3月11日(金)14:00~16:30
     場 所 : 先導研伊都地区CE41 第 一セミナー室
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講 演 1
講  師 : 曽我部 正博 名古屋大学名誉教授 (名古屋大学大学院医学系研究科・メカノバイオロジー研究室、シンガポール国立大学・メカノバイオロジー研究所)
講演題目 : 『組織再生のメカノバイオロジー:細胞外ATPの重要性』
講演概要: 
 組織の再生は特別な現象ではない。消化器や皮膚の上皮組織は絶えず傷ついているが、迅速に修復される。この創傷治癒こそ典型的な組織再生であり、この機 能なしには命は保てない。創傷治癒は、静止状態の細胞が傷という刺激で活性化され、増殖しながら協調的に移動して傷を覆い、修復完了時には増 殖も移動も停止するという複雑な過程である。その仕組みの多くは謎であるが、最近になって細胞内外の機械刺激、およ び機械刺激で細胞から細胞外に放出されるATPが重要な制御因子であることが分かって きた。本講演では、細胞外ATPの生理的役割を概説したのち、組織再生にお ける機械刺激とATPの役割に関する最新知見を紹介する。

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講 演 2
講  師 : 芳賀 永 教授 (北海道大学 大学院先端生命科学院 細胞ダイナミクス科学研究分野)
講演題目 : 『基質の粘弾性と細胞の基質把握力がもたらす細胞集団の協調運動と3次元形態形成』
講演概要:
 細胞は周囲の硬さを感知する能力を備えています。この能力は細胞の運動、分化、生体組織の形成、疾病など様々な生命現象において重要な役割を果します。 本講演では、上皮細胞を軟らかいゲル上に培養すると自発的に3次元の組織を形成すること、 組織が硬くなるとがん細胞が悪性化すること、軟らかい基盤の方が幹細胞を神経に分化させやすいことなど、最新の実験結果を紹介しながら、 細胞と基質の硬さとの関係についてお話しします。

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講 演 3
講  師 : 澤田 泰宏 博士 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部 部長)
講演題目 : 『メカニカルストレス応答を介する生体恒常性維持–障害性メカニカルストレスと治療的メカニカルストレス』
講演概要:
 理学療法運動(エクササイズ)など、身体の機能改善・恒常性維持のために、局所的あるいは全身性のメカ ニカルストレス負荷・介入を行うことは少なくない。これらはいわば治療的メカニカルストレスである。反対に、 高血圧・身体不活動・体重過多・無重力・関節不安定性などは、身体機能悪化の原因となる障害性メカニカルストレスと言える。障害性メカニカルストレスが想定される病態には、炎症反応制御において中心的な役割を果 たす分子であるNF-κBの活性化が関与するものが多い。 しかし、治療的メカニカルストレスの実体及びその背景となるシグナル分子機構が未解明であるため、メカニカルストレスを利用した治療は経験に基づく限定的 なものにとどまっている。本講演では、われわれのこれまでのメカニカルストレス応答の研究から得られた知見を紹介 し、それに基づく障害性メカニカルストレスと治療的メカニカルストレスの本態に関する考察について述べる。


----- 連絡先 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------
木戸秋 悟
九州大学・先導物質化学研究所(伊都地区)
分子集積化学部門・医用生物物理化学分野
(兼担)ソフトマテリアル部門・メカノバイオマテリアル国際連携分野
(協力)大学院工学府物質創造工学専攻・超分子化学講座
〒819-0395 福岡市西区元岡744  CE41棟204号室
TEL: 092-802-2507, FAX: 092-802-2509