環境と研究

有機合成と分子触媒


BINAP-Ru触媒
BINAP-Ru触媒による不斉水素化反応

BINAP-Ru触媒
2001年にノーベル賞を受賞された野依良治先生により合成されたルテニウム触媒です。不斉配位子の導入により、光学活性化合物R体,S体のどちらか一方のみを作り分けることが出来ます。オレフィンやケトン類などの不斉水素化に対し、極めて高い触媒活性が有ります。非常に多くのカルボニル化合物に適応可能で、医薬品や香料などの合成の触媒として、工業化され広く利用されています。


Grubbs触媒
Grubbs触媒によるメタセシス反応

Grubbs触媒
Grubbsらにより合成されたルテニウム錯体(左、中)および、Schrockらにより合成されたMo錯体(右)。いずれもオレフィンメタセシスに対し、高い活性を有します。これらの分子触媒は、左に示す代表的な反応以外にも、非常に幅広い反応に適用可能で、近年の有機化学における新しいツールとして、必須のものとなってきています。特に、天然物合成においては、これらの分子触媒が劇的な威力を発揮してます。これの業績により、Grubbs、Schrock両博士は、2005年のノーベル賞を受賞しました。