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全無機型ペロブスカイト抵抗変化メモリの開発に成功

玉田教授と国立台湾師範大学Chun-Chieh Chang教授Ya-Ju Lee教授との共著論文が「Nature Communications」にて公開されました。本学からもプレスリリースが発信されています。

ペロブスカイト材料における電界誘起イオン移動現象は、光電変換素子の電気光学特性や最終性能に大きく影響することが知られています。これらは一般に劣化を招く有害なものとして扱われ、実用化のためにはイオンの動きを抑えることが必要とされてきました。
国立台湾師範大学電気光学工学研究所のChun-Chieh Chang教授とYa-Ju Lee教授、九州大学先導物質化学研究所の玉田薫主幹教授らの研究グループは、この現象を巧みに利用して、抵抗変化メモリ(RRAM)(※1)と発光電気化学セル(LEC)(※2)を同時搭載した、高速スイッチング可能な全無機CsPbBr3ペロブスカイト(※3)量子ドットデバイスを開発しました。複数の機能を備えたこの新しいデバイスは、バイアス極性の変調によりイオンの流れを注意深く制御することで、メモリが「書き込み」状態か「消去」状態かを異なる発光色で知らせることができます。
全ペロブスカイト素子を直列に繋ぐだけで、電気的に切り替え可能な発光メモリデバイスとするこの新しいアイデアは、ペロブスカイト材料の光特性と電気特性の相乗効果を狙ったものとして、オプトエレクトロニクスの分野に新たな可能性を示すと期待されます。
本研究は、九州大学と国立台湾師範大学との大学間学術交流協定に基づいて行われました。本研究成果は、2021年7月23 日(金)(日本時間)に 「Nature Communications」にて公開されました。

論文情報

タイトル
All-inorganic Perovskite Quantum Dot Light-emitting Memories
著者名
Meng-Cheng Yen, Chia-Jung Lee, Kang-Hsiang Liu, Yi Peng, Junfu Leng, Tzu-Hsuan Chang, Chun-Chieh Chang, Kaoru Tamada, Ya-Ju Lee
掲載誌
Nature Communications
DOI
https://doi.org/10.1038/s41467-021-24762-w
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